この記事を書いた人:武山 円
YSこころのクリニック・YSカウンセリングセンターカウンセラー
スクールカウンセラー 公認心理師
【親が今日から実践できる接し方のコツ5選と対応法7選】
「不登校の子どもにどう接したらよいかわからない」
こんな悩みを抱えていませんか?
「毎朝、どんなふうに声をかけたらいいのかわかりません。毎朝、学校に連絡をするのも辛いです…」
「頑張れと背中を押した方が良いのでしょうか?見守った方が良いのでしょうか?」
「無理やり学校まで連れて行った方が良いですか?」
「家では元気そうに見えるけれど…好きなことばかりさせていて良いのでしょうか?」
「このまま引きこもりになってしまうのではないかと不安です。」
「どうしたらこの辛い状況を解決できるのでしょうか?」
これらは、カウンセリングに来てくださった保護者の方からよく聞かれることです。お子さんが不登校になった時、ご心配になるのもわが子を思うからこそ。それだけ愛情いっぱいにお子さんと向き合われていること、本当に尊いことだと思っています。
お子さんが不登校になった時、先の見えないトンネルの中にいるような気持ちになるのではないでしょうか。
お子さんが生き生きと、その子らしく、輝く毎日を過ごせるようになる、お子さんのその回復のカギは、親御さんの「接し方」にあります。今回は、不登校のお子さんへの接し方について、そして次の一方踏み出す際の不登校のお子さんへの対応の仕方についてお話します。
<この記事を読んでわかること>
不登校は特別なこと?【不登校をとりまく現状】
令和4年度の全国の小・中学校における不登校児童生徒数は299,048人(前年度244,940人)であり、前年度から54,108人(22.1%)増加し、過去最多となっています。在籍児童生徒に占める不登校児童生徒の割合は3.2%(前年度2.6%) 。
過去5年間の傾向として、小学校・中学校ともに不登校児童生徒数、その割合は増加しています(小学校H30:0.7%→ R04:1.7% 、中学校 H30:3.7%→ R04:6.0%)。
長期化するコロナ禍による生活環境の変化により生活リズムが乱れやすい状況が続いたことや、学校生活において様々な制限がある中で交友関係を築くことが難しかったことなど、登校する意欲が湧きにくい状況にあったこと等も背景として考えられています。(子ども家庭庁HP)
平均すると、小学校であれば、2クラスに1人、中学校であれば、各クラスに1~2人程度、不登校の子がいるということになります。決して珍しいことではありません。
過去5年間の傾向として、小学校・中学校ともに不登校児童生徒数、その割合は増加しています(小学校H30:0.7%→ R04:1.7% 、中学校 H30:3.7%→ R04:6.0%)。
長期化するコロナ禍による生活環境の変化により生活リズムが乱れやすい状況が続いたことや、学校生活において様々な制限がある中で交友関係を築くことが難しかったことなど、登校する意欲が湧きにくい状況にあったこと等も背景として考えられています。(子ども家庭庁HP)
平均すると、小学校であれば、2クラスに1人、中学校であれば、各クラスに1~2人程度、不登校の子がいるということになります。決して珍しいことではありません。
なぜ我が子は不登校になったの?【不登校の原因】
不登校の原因はそれぞれですが、一般的な原因として以下のようなものが考えられます。
① 学校への不安や恐怖
学校へ行くことに不安感や恐怖心があり、不登校になることがあります。この不安や恐怖は、学業面でのプレッシャーや、友人関係や先生との関係などの人間関係に起因することもありますし、何に対して不安や恐怖を抱いているのかはっきりしないということも少なくありません。
② ハラスメントやいじめ
不登校の背景に、ハラスメントやいじめが隠れていることがあります。
③ 家庭環境の問題
家庭内の不安定さや夫婦関係、親子関係により子どもが不安定になったり、子どものストレス耐性を下げてしまうことで、不登校の原因となることがあります。
④ 心理的な問題
不安障害、うつ病、場面緘黙症、PTSD、パニック障害など、心理的な問題が不登校の原因となることがあります。
⑤ 学習・集団生活上の問題
学習障害や注意欠如多動障害(ADHD)、自閉スペクトラム症(ASD)などの発達特性が、不登校の背景として隠れていることがあります。学習に対する困難感、集団に対する不適応感から自己肯定感が低下し、登校する意欲がわかないケースもあります。
これらの要因は一人一人の子どもたちによって異なります。
複数の要因が組み合わさって不登校に至ることもあります。また、子どもたち自身も自分が不登校になった原因がわからないということも少なくありません。
例えば、友人関係のトラブルがきっかけとなって不登校になったケースで、その友人から「ごめんなさい」と言われて仲直りができたら登校ができるかといわれると、そうではないこともあります。逆に、そのトラブルそのものが解決しなくても、そのことが気にならなくなって登校できるケースもあります。
不登校に関しては、その子の状況や背景を配慮しながら、心の安定が図れるよう適切な接し方・対応をすることが大切です。
例えば、友人関係のトラブルがきっかけとなって不登校になったケースで、その友人から「ごめんなさい」と言われて仲直りができたら登校ができるかといわれると、そうではないこともあります。逆に、そのトラブルそのものが解決しなくても、そのことが気にならなくなって登校できるケースもあります。
不登校に関しては、その子の状況や背景を配慮しながら、心の安定が図れるよう適切な接し方・対応をすることが大切です。
ここがカギになる!不登校の接し方5選
①不登校の我が子への接し方その1<気持ちに寄り添い、受け止める>
子どもの気持ちや状況を理解し、共感することが大切です。子どもの立場や感情に寄り添い、尊重する姿勢を示しましょう。
「気持ちがわからない!」という場合も大丈夫。それだけわかろうとしている証拠です。
逆に「私はこの子の気持ちはわかっている!」と思っている時の方が、わかっていなかったりするものです。
「わかってあげたい」「教えてほしい」という気持ちで、焦らずにゆっくりと聞きましょう。
何も話さなければ、「わかってあげたい」というその気持ちでそばにいるだけで大丈夫です。
時には、様々な不満や文句をぶつけてくることもあるかもしれませんが、それだけ自分の気持ちを話せるようになったということ。良い兆候です。「そんなふうに思っていたんだね、教えてくれてありがとう」など、その気持ちは否定せずに受け止めましょう。
時には「学校は休んでいいよ」と言葉ではっきりと伝えることも、子どもたちの安心感を引き出すうえで大切です。
「気持ちがわからない!」という場合も大丈夫。それだけわかろうとしている証拠です。
逆に「私はこの子の気持ちはわかっている!」と思っている時の方が、わかっていなかったりするものです。
「わかってあげたい」「教えてほしい」という気持ちで、焦らずにゆっくりと聞きましょう。
何も話さなければ、「わかってあげたい」というその気持ちでそばにいるだけで大丈夫です。
時には、様々な不満や文句をぶつけてくることもあるかもしれませんが、それだけ自分の気持ちを話せるようになったということ。良い兆候です。「そんなふうに思っていたんだね、教えてくれてありがとう」など、その気持ちは否定せずに受け止めましょう。
時には「学校は休んでいいよ」と言葉ではっきりと伝えることも、子どもたちの安心感を引き出すうえで大切です。
②不登校の我が子への接し方その2<好きなことや良いところを書き出す>
不登校になったとき、学校に行けたらうれしい・行けなかったら落ち込むなど、学校に行けるかどうかで一喜一憂することが多いものです。お子さん自身も「学校に行けない、ダメな自分…」と自信をなくしていることが多いです。
でも本来のお子さんの価値は、学校へ行くことと行かないことでは変わらないものです。
もともと持っている、興味や才能を見つけること、またその力を発揮することで、自己肯定感を高めることができます。
ぜひお子さんと一緒に好きなことや得意なこと、できること、良いところ、素敵なところを発見してみてください。そしてどんなに小さなことや些細なことでも「やってみたい」と言うことがあったら、実際に行動にうつせるとさらに効果的です。
でも本来のお子さんの価値は、学校へ行くことと行かないことでは変わらないものです。
もともと持っている、興味や才能を見つけること、またその力を発揮することで、自己肯定感を高めることができます。
ぜひお子さんと一緒に好きなことや得意なこと、できること、良いところ、素敵なところを発見してみてください。そしてどんなに小さなことや些細なことでも「やってみたい」と言うことがあったら、実際に行動にうつせるとさらに効果的です。
③不登校の我が子への接し方その3<小さな変化を発見する>
不登校になった時、学習の遅れや他者とのコミュニケーションが減ることを不安に思われる方が多く、目の前の子どもの成長や変化が見えなくなってしまうことが多いです。
不登校であっても、そうでなくても、子どもたちは確実に成長しています。
例えば、なかなか朝起きられず、ゆっくり寝ているとしたら、心身共に休養がとれるようになったのかもしれません。昨日は何もしゃべらなかったけれど、今日は「おはよう」とあいさつをするかもしれません。昨日よりも少し笑顔が増えているかもしれません。癇癪で暴れているとしたら今まで我慢していた思いを表現しているのかもしれません。
なかなか目に見えづらいものかもしれませんが、確実に心身ともに成長しています。その小さな成長や変化を発見して、記録してみましょう。それが子どもたちの自信につながっていきます。
不登校であっても、そうでなくても、子どもたちは確実に成長しています。
例えば、なかなか朝起きられず、ゆっくり寝ているとしたら、心身共に休養がとれるようになったのかもしれません。昨日は何もしゃべらなかったけれど、今日は「おはよう」とあいさつをするかもしれません。昨日よりも少し笑顔が増えているかもしれません。癇癪で暴れているとしたら今まで我慢していた思いを表現しているのかもしれません。
なかなか目に見えづらいものかもしれませんが、確実に心身ともに成長しています。その小さな成長や変化を発見して、記録してみましょう。それが子どもたちの自信につながっていきます。
④不登校の我が子への接し方その4<小さな成功体験を積む>
不登校状態のために、毎日、「できなかった(今日も学校に行けなかった)」と挫折感を抱えている子どもたちも少なくありません。郵便物をとってきてもらう、朝5分早く起きる、お料理を手伝ってもらう…などなど、どんなに小さなことでも良いので、成功体験を積み重ねましょう。
大きなステップを越えられなかったとしても、その手前にさらに複数の小さなステップをつけて簡単に登れるようにすれば、確実に大きなステップも越えられます。乗り越え方を覚えれば、いずれはその最初の大きなステップも軽々と越えられるようになるものです。
「できた」「できた」という思いを積み重ねる、小さな成功体験は、自分の力を認めることができ、自己肯定感やモチベーションを高めます。失敗や困難に直面したときに立ち向かう力にもつながっていきます。これから先の人生を生きていくうえでの基盤になっていくものです。
大きなステップを越えられなかったとしても、その手前にさらに複数の小さなステップをつけて簡単に登れるようにすれば、確実に大きなステップも越えられます。乗り越え方を覚えれば、いずれはその最初の大きなステップも軽々と越えられるようになるものです。
「できた」「できた」という思いを積み重ねる、小さな成功体験は、自分の力を認めることができ、自己肯定感やモチベーションを高めます。失敗や困難に直面したときに立ち向かう力にもつながっていきます。これから先の人生を生きていくうえでの基盤になっていくものです。
⑤不登校の我が子への接し方その5<柔軟な対応をする>
同じ「不登校」と言っても、子どもたちの抱える状況や背景は異なっています。
インターネットで検索し、様々な記事やブログを読まれる方も多いのではないでしょうか。
「不登校で苦しんでいるのは私(我が子)だけではない」「こんなふうに乗り越えた方がいる」など、安心したり、希望を持てたりするのであれば、それは素晴らしいことです。
ただ、その他者と比較して、「こんなふうになっていない」と悲観したり、焦ったりする必要はありません。ほかの不登校の子が別室登校や放課後の登校、家庭訪問などができているのに、我が子はそれもできない……と焦ったりすることもあるかもしれません。まだそれをする段階ではないのかもしれませんし、他の方法があるのかもしれません。その子に今必要なことが一つわかったわけです。
それぞれに必要な心の成長を遂げている一過程ですので、一人一人の子どもたちに応じた対応をしていきましょう。
インターネットで検索し、様々な記事やブログを読まれる方も多いのではないでしょうか。
「不登校で苦しんでいるのは私(我が子)だけではない」「こんなふうに乗り越えた方がいる」など、安心したり、希望を持てたりするのであれば、それは素晴らしいことです。
ただ、その他者と比較して、「こんなふうになっていない」と悲観したり、焦ったりする必要はありません。ほかの不登校の子が別室登校や放課後の登校、家庭訪問などができているのに、我が子はそれもできない……と焦ったりすることもあるかもしれません。まだそれをする段階ではないのかもしれませんし、他の方法があるのかもしれません。その子に今必要なことが一つわかったわけです。
それぞれに必要な心の成長を遂げている一過程ですので、一人一人の子どもたちに応じた対応をしていきましょう。
不登校の解決へ向けて一歩踏み出すための対応法7選
① 担任の先生やスクールカウンセラーに相談する。
不登校は長期化するケースも少なくありません。学校との連携は必要不可欠です。
不登校になった原因が学校生活にある場合、その原因そのものを解消したり、軽減したりすることもできるかもしれません。
理由がわからない場合も、親の知らない学校での様子や交友関係などを教えてもらえるかもしれません。再登校、進級、進路など、先のことも相談することもできます。
また、不登校の相談を受け付けている相談機関やサポート団体は、自治体・地域によって異なっていますので、そういった情報を教えてもらうこともできるでしょう。
基本的には、窓口は担任の先生になるケースが多いかと思いますが、話しづらい…などある場合は、管理職の先生に連絡してみるのも良いでしょう。
また、スクールカウンセラーは、子どもだけでなく、親の相談も受け付けています。接し方や対応を相談できるのはもちろんのこと、愚痴をこぼすような感覚で、抱えている気持ちをお話し、気持ちを整理するのも良いでしょう。親が安心できること、笑顔でいられることが、子どもたちのためには大切なことです。
不登校になった原因が学校生活にある場合、その原因そのものを解消したり、軽減したりすることもできるかもしれません。
理由がわからない場合も、親の知らない学校での様子や交友関係などを教えてもらえるかもしれません。再登校、進級、進路など、先のことも相談することもできます。
また、不登校の相談を受け付けている相談機関やサポート団体は、自治体・地域によって異なっていますので、そういった情報を教えてもらうこともできるでしょう。
基本的には、窓口は担任の先生になるケースが多いかと思いますが、話しづらい…などある場合は、管理職の先生に連絡してみるのも良いでしょう。
また、スクールカウンセラーは、子どもだけでなく、親の相談も受け付けています。接し方や対応を相談できるのはもちろんのこと、愚痴をこぼすような感覚で、抱えている気持ちをお話し、気持ちを整理するのも良いでしょう。親が安心できること、笑顔でいられることが、子どもたちのためには大切なことです。
② やりたいことができるように応援する、親自身がやりたいことをする
シンプルで簡単なことのようですが、子どもが「やりたい」と言うものがあったら、可能な方法で取り組めるよう支援してみましょう。ワクワクすること、楽しいことなど、やりたいことをすることは、心の豊かさや満足感を引き出すことにつながります。また、自己実現の機会を得ることで、自己肯定感が高まります。
子どもだけでなく、親御さん自身がやりたいことをすることも効果的です。親の様子を子どもたちは本当によく感じ取るものです。親御さん自身が楽しむことも大切です。
子どもだけでなく、親御さん自身がやりたいことをすることも効果的です。親の様子を子どもたちは本当によく感じ取るものです。親御さん自身が楽しむことも大切です。
③ 学校以外で学べる環境を提案する
学習したいという意欲が出てきたら、学校以外で勉強ができる場を提案することも良いでしょう。
不登校は学校へ行くことだけがゴールではありません。適応指導教室などの不登校の子が通える施設や相談施設がある自治体も多くあります。また、YouTubeで授業を受けてみるというのも良いでしょう。塾や家庭教師、習い事、フリースクールなどを活用するのも良いのではないでしょうか。高校生であれば、通信制高校という選択肢もあります。
不登校は学校へ行くことだけがゴールではありません。適応指導教室などの不登校の子が通える施設や相談施設がある自治体も多くあります。また、YouTubeで授業を受けてみるというのも良いでしょう。塾や家庭教師、習い事、フリースクールなどを活用するのも良いのではないでしょうか。高校生であれば、通信制高校という選択肢もあります。
④ 別室登校や保健室登校を提案する
登校してみようかなという意欲が出てきた、または、教室でなければ登校できそうなどの場合には、別室登校や保健室登校を受け入れているかどうか、どういった方法があるか、学校と相談してみましょう。
いきなり教室には戻ることはできなくても、別室登校や保健室登校を経て、教室へ復帰したり、進学したりするケースも少なくありません。スモールステップで進んでいくことも大切です。
いきなり教室には戻ることはできなくても、別室登校や保健室登校を経て、教室へ復帰したり、進学したりするケースも少なくありません。スモールステップで進んでいくことも大切です。
⑤ 家と学校以外に他者との交流の場をつくる
「登校はできないけれど、友だちとは遊びたい」「友だちと関わりたい」というケースも少なくありません。人と関わりたいという気持ちがもてるということは、とても素敵なことです。公園や児童センターに行くのも良いですし、それは難しいという場合は、習い事やフリースクールなども良いでしょう。
逆に、友だちと会うのはできるだけ避けたいという子も多いです。家族から祖父母、親戚、担任の先生など、安心して会える相手から少しずつ広げていきましょう。
逆に、友だちと会うのはできるだけ避けたいという子も多いです。家族から祖父母、親戚、担任の先生など、安心して会える相手から少しずつ広げていきましょう。
⑥ 親の会に参加する
不登校の親の会では、他の人も同じような問題や悩みを抱えていることがわかり、共感することで、安心感につながることも多いです。また、専門家を招いての講演やワークショップが行われることもあり、様々な情報を得られる機会にもなります。体験談を聞けるというのも、大きなメリットでしょう。
⑦ 専門家の支援を受ける
不登校の子どもへの対応では、親御さん自身も不安になったり、自信をなくしたり、辛い思いをしていることがほとんどです。なかなか友人や親類には相談がしづらく、問題を家庭内だけで抱え込む傾向がありますが、不登校は誰しもがなりえることであり、恥ずかしいことではありません。専門家に相談し、安心感を得て、自信をもって子どもと接することができるようになること、客観的な視点からみてもらい、適切なアプローチや支援を共に考えてもらえることが大切です。お子さん本人を何とかしてほしい、専門家にみてもらいたいという方も多いですが、一番長くお子さんに接してきた親御さん自身がまず相談をして、サポートを受けること、専門家も巻き込んで、チームとして対応していくことが、解決への一番の近道です。