この記事を書いた人:武山 円
YSカウンセリングセンターカウンセラー
スクールカウンセラー 公認心理師
大人のひきこもり―親が知っておきたい特徴と回復のポイント―
「大人になってひきこもっているわが子をどうしたらいいの…」
そんな悩みを抱えている親御さんは、実は少なくありません。ひきこもっていたお子さんがそのまま大人になるケースもありますし、大人になってからひきこもることもあります。
大人のひきこもりは、単なる「怠け」や「甘え」ではなく、深い心の葛藤や孤独感からくるものです。社会と関わることへの不安や恐れを抱え、自分を守っているのです。このような状況にあるお子さんを持つ親御さんは、日々の心配や疲れ、将来の不安、そして自分の無力感に苦しんでいるのではないでしょうか。
大人のひきこもりは、長期化することが多いのも事実ですが、心の仕組みを知り、適切な対応をしていけば、必ず道は開けていきます。今回は、「大人のひきこもり」をテーマに、特徴や支援方法をお伝えしていきます。お子さんを思い、このページにたどり着いてくださった皆さんに、希望の光と一歩前進するきっかけをお届けできたら幸いです。
この記事を読んでわかること
なぜ大人になってもひきこもるのか
ひきこもりの理由や背景は、お一人お一人異なりますし、様々な要因が複雑に絡まりあっていることも多いです。ここでは、大人のひきこもりの主な理由をご紹介します。
大人のひきこもり理由①10代から不登校やひきこもりが継続して大人になった
不登校がひきこもりの原因であるケースは割合としては多くはありませんが、ひきこもりのまま大人になった場合、長期化しやすい状況にあります。なぜかというと、まず、未成年のうちは、進級や卒業、進学など、定期的にターニングポイントとなる節目がやってきます。ストレスにもなりますが、それが目標となり、大きく変わるきっかけとなるのも事実です。ところが、成人すると、そのきっかけがなくなるため、自分で意識するしかありません。また、10代から不登校やひきこもりだった場合、就職しよう、バイトをしてみようと思ったときに、履歴書に学歴や職歴がかけず自信がもてなかったり、人間関係に不安を感じたりすることも多いです。そのことが、ひきこもりが継続する要因となることがあります。
大人のひきこもり理由②心のクセと親子関係
同じような出来事・状況に直面しても、それをきっかけに心を病んだり、ひきこもりになったりする人もいれば、それを自分の糧にして頑張る人もいます。このような違いが生まれるのは、人によって出来事のとらえ方が違うからです。このとらえ方の違いを生み出す元になっているものが「心のクセ」です。この心のクセには、「親子関係」が大きく影響しています。その理由は二つあります。一つ目は、遺伝としてご両親から引き継いでくる性格が心のクセにつながっています。二つ目は、生まれてから出会う初めての人間関係がご両親であり、この幼少期のご両親との関係が、その先の人間関係を築いていくうえでの、判断の基準になっていきます。人間関係の原点が両親だからこそ、親子関係はひきこもりに大きく影響しています。
ここで注意していただきたいのは、これは、親御さんが悪いということではありません。親御さんも、最善をつくしてこられたはずですし、親御さんのご両親からそのように育てられたのかもしれません。ただし、この「心のクセ」を解消し、ひきこもりから回復していくためには、親御さんの関わりがカギになります。
ここで注意していただきたいのは、これは、親御さんが悪いということではありません。親御さんも、最善をつくしてこられたはずですし、親御さんのご両親からそのように育てられたのかもしれません。ただし、この「心のクセ」を解消し、ひきこもりから回復していくためには、親御さんの関わりがカギになります。
大人のひきこもり理由③仕事や人間関係の悩み
大人のひきこもり理由の3つ目は、仕事をしてから退職し、ひきこもりになるケースです。大人のひきこもりの中で、この理由が一番多いです。仕事の中でも、人間関係のトラブルや悩みが多く、この人間関係の失敗体験・挫折体験から、自信を失い、なかなか次の仕事に動き出せないことも少なくありません。
大人のひきこもり理由④ゲームやインターネットへの依存状態
現実の辛さやストレス発散のためにゲームやインターネットにのめりこむうちに、自室にこもったり、昼夜逆転して日常生活が送れなくなったりするケースもあります。最近ではSNSから抜け出せなくなることもあるそうです。しかし、「ゲームやインターネットが悪い」「ゲームやインターネットは禁止」といったように頭ごなしに否定したり、取り除こうとしたりすることは逆効果になりかねません。親子関係の悪化につながります。ゲームやインターネットに依存した背景、お子さんがどのような気持ちでいるのか、どのような心理状態なのか考え、その元になっている心の問題を解消していくことが大切です。
大人のひきこもり理由⑤精神疾患の影響
ひきこもりの背景に、精神疾患が隠れていることもあります。厚生労働省も、ひきこもりの中には、未診断の統合失調症が含まれている可能性があることを示しています。状態によっては、入院や薬物治療が必要なケースもありますので、精神疾患が疑われる場合には、心療内科や精神科を受診してみましょう。受診した方が良いかどうかわからないという場合には、まず、当センターのような専門家に相談すると良いでしょう。
大人のひきこもりになりやすい人の特徴
これからあげる特徴をもっていたとしても、必ずしもひきこもりになるわけではありません。あくまで、「こういう傾向にある方が多い」ということです。ひきこもっているお子さんを理解するうえでの一助として、参考までにお読みください。
大人のひきこもり特徴①まじめで努力家
まじめで努力家の人は、自分に厳しく、頑張り続けてしまい、ひきこもりになることがあります。周囲の期待にこたえようと結果を出そうと努力し、結果が出なかった場合には責任を大きく感じやすいです。それがいきすぎると、「結果が出せない自分は価値がないんだ」と思ってしまうこともあります。また、「親や周囲に迷惑をかけたくない」と一人で悩み続け、ひきこもりへとつながってしまうこともあります。
大人のひきこもり特徴②自己肯定感が低い
自己肯定感とは、ありのままの自分を肯定する感覚のことです。自己肯定感が低いと、自分の言動や行動を不安に感じ、人間関係に悩みを抱きやすいです。また、「自分は誰にも必要とされていない」と感じ、寂しさや孤独感を抱えていることもあります。何か失敗したときに、「次に生かそう」とは思えず、「自分は何をやってもだめだ」「どうせまた失敗するに違いない」などととらえ、家を出られないほどに落ち込んでしまう人もいます。こうした失敗に対する恐怖や人間関係の困難さからひきこもりへとつながっていくケースも珍しくありません。
大人のひきこもり特徴③内向的で、気持ちを言葉にするのが苦手
人によく気をつかい、自分の感情を表現するのが苦手だと、本来の自分を肯定してもらった感覚を得るのが難しかったりします。また、集団の中で自分の意見をうまく伝えられず、自分の気持ちを抑えることにストレスを感じたり、そんな自分にイライラしたりするケースも。集団にいなければ感じないストレスでもあるため、結果的に人とのかかわりを避けることがあります。
大人のひきこもり特徴④人の目を気にする
自分が他人からどう見られているか、人の目を気にする人は、緊張や不安を感じやすいです。それ自体は、自分の力を高めることにつながったり、人を思いやることができたり、悪いことではありません。しかし、自分の思うような評価を得られないと、できない自分に対する不安や怒りを抱き、自分のことが認められなくなったりします。また、外に出ると周囲の目が気になり、それに対して過剰に反応することが大きなストレスとなり、自室にひきこもることもあります。
大人のひきこもりはいつまで続くのか
内閣府の調査によると、39歳までの大人のひきこもりは、約41.5%が5年以上続いており、特に7年以上ひきこもっている人は34.1%にのぼります。一方、40歳以上の中高年層では、ひきこもり期間がさらに長期化する傾向があり、7年以上が54.5%、10年以上が46.7%に達しています。また、ひきこもりの期間が「1年未満」の人が13.6%、「3年未満」の人は24.9%、「5年未満」の人は35.5%となっています。このように、ひきこもりの期間には個人差がありますが、ひきこもっている期間が長くなるほど、7年以上、10年以上とさらなる長期化につながりやすいこと、年齢が上がるほどに長期化しやすいことがわかります。早期に専門家に相談するなどの対応をしていくことが大切です。
大人のひきこもり社会復帰を支援する方法
では、大人のひきこもりの方をどう支えていったら良いのか、支援する方法をまとめてみたいと思います。
ひきこもりから社会復帰への支援①心の根本的な問題を解消する
ひきこもりの背景には、対人関係の悩みや自己肯定感の低さなど、心の深い部分にある課題が関わっていることが多いです。その心に抱えている課題を根本的に解消していくことが大切です。しかし、ひきこもっているご本人は、カウンセリング等を受けたがらないことも少なくありません。まずは、親御さんが心の仕組みを理解し、接し方を習得されることをおすすめいたします。当センターでは、親御さん向けの「心を病むお子さんを救う接し方講座」(無料)も開催しております。ぜひご活用ください。
ひきこもりから社会復帰への支援②安心できる場を作る
ひきこもりの人にとって、外部の人と関わることへの恐怖心やストレスが大きな障壁となります。家族や支援者が、まず安心できる環境を整えることが大切です。厚生労働省の調査では、少人数でのコミュニケーションや自己表現の練習が社会復帰へ向けて有効であることが報告されています。小さな集まりや安全な環境で少しずつ他者との関わりを増やすことが、社会復帰への一歩となります。ご本人が興味を持つことができ、安心できる相手から、少しずつコミュニケーションの時間や場所を広げていけると良いでしょう。
ひきこもりから社会復帰への支援③第三者の支援機関を積極的に活用する
ひきこもりが長期化すると、ご家族内で解決することは難しくなっていきます。家族の中に新しい風を入れるためにも、第三者の支援機関を活用することが重要です。厚生労働省が推進している地域の相談機関やサポートステーションは、就労支援や社会復帰を目指すプログラムを提供しており、これらを活用することで段階的な支援を受けることも可能です。
大人のひきこもりへの接し方・家族が気を付けること3選
最後に、日常生活の中で、ご家族がどのように接したら良いか、またどのようなことを気を付けたら良いか、ポイントとなる部分を解説します。
大人のひきこもり家族が気を付けること①家族一人一人が生き生きと過ごす
ひきこもりの問題に直面していると、家族全体がその状況に引き込まれ、思い悩み、気持ちが落ち込みがちです。ご家族を大切に思えばこそ、当然のこととも言えます。しかし、親御さんやご兄弟はどうか、あなた自身の幸せを考えてください。ひきこもり状態にあるご本人を支えるためには、ご家族自身が家庭の内外で日常を楽しく過ごすことが大切です。そうすることで、家族・家庭が温かい場所になり、ひきこもっているご本人の明るい心も引き出されます。また、家族が社会とつながりを持ち楽しく過ごしている様子を見ることで、外出にポジティブなイメージを持てるようになることもあります。
大人のひきこもり家族が気を付けること②ご本人の気持ちに耳を傾け、尊重する
ひきこもっているご本人は、言葉には発さなくても、心配や不安、挫折感、「家族に申し訳ない」という気持ちなど、様々な葛藤を抱え、苦しんでいることがほとんどです。無理に変化を求めるのではなく、安心して家族と過ごせること、そしてご本人が「何かをやりたい」「変わりたい」という意欲を発見し、ご本人の力で回復していくことをサポートすることが大切です。
大人のひきこもり家族が気を付けること③小さな変化を大きく認める
どんなに小さな変化でも、それを発見し、大きく認める姿勢が大切です。例えば、少しだけ部屋を出てきた、家族とあいさつを交わせた、笑顔が見られたなど、小さな変化をたくさん認めていきましょう。親御さんが認めることは、ご本人が自己肯定感を育む助けとなりますし、小さな成功体験の積み重ねが、やがて大きな前進へとつながっていきます。
大人のひきこもり―親が知っておきたい特徴と回復のポイント― まとめ
大人のひきこもりについて、ご家族の抱える不安は計り知れません。8050問題と呼ばれるような、社会問題ともなっています。しかし、心の仕組みを知り、適切な対応をしていけば、必ず道は開けていきます。お子さんが回復するカギを握っているのは親御さんです。お子さんが社会復帰されていくために、まずは親御さんだけで抱え込まずに、専門家と一緒に、支援方法を考えていきましょう。親御さんも、ひきこもり状態にあるお子さんも、ともに幸せになれるように心から願っています。
YSカウンセリングセンターでは
「わが子がひきこもりでどうしたらよいかわからない…」
「このままどうなってしまうのか不安だ…」
「出口が見えず、もう限界…」
という親御さん・ご家族の無料相談を受け付けています。
お子さんをよみがえらせるのは、医者でも、薬でも、相談員でもありません。お子さんのひきこもりを解決するカギは、親御さんの「接し方」にあります。
ご家庭でのお子さんの様子や親御さん・ご家族のお悩みなど、じっくりマンツーマンでヒアリングを行い、解決までの道すじを、具体的にご相談いただけます。ひきこもりが好転していった事例のご紹介も可能です。
経験豊富なカウンセラーが対応いたしますので、少しでも気になる方はお気軽にご連絡ください。
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