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この記事を書いた人:武山 円 
YSカウンセリングセンターカウンセラー
スクールカウンセラー 公認心理師

不登校は兄弟で連鎖しやすい?その理由と親の不安を解消する「対応の極意」

「上の子が不登校になり、最近は下の子も行き渋り始めている……」

そんな状況に、焦りや不安を感じていませんか?

兄弟で不登校が連鎖することは、珍しいことではありません。

「一人だけでも大変なのに、もう一人……」 しかし、それは決して「親の育て方」の問題ではありません。この記事では、兄弟連鎖が起こる心理的なメカニズムや、連鎖しやすい家庭の特徴、そして今日からできる対応法について、専門的な視点から詳しく解説します。

この記事を読んでわかること

【事実】不登校は兄弟で連鎖しやすいのか?

「連鎖」という言葉を聞くと、悪い流れのように感じるかもしれません。まずは、なぜ兄弟で同じような状況に陥りやすいのか、その現状と本質について見ていきましょう。

現場の声から見る「兄弟連鎖」の現状

実際、カウンセリングの現場で、不登校のお子さんの親御さんから「実は兄弟も行きしぶりはじめて…」「兄弟も欠席し始めてどう対応したらいいのか」とご相談を受けることはよくあります。教育現場やカウンセリングの統計を見ても、兄弟が揃って不登校になるケースは珍しくないのが現状です。現場の支援員の間では「一人目が休むと、二人目、三人目のハードルが下がる」ことは共通認識となっています。これは「不登校は伝染病のようにうつる」というわけではなく、一人の不登校をきっかけに、家族全体の生活リズムや価値観が大きく揺らぐためです。

なぜ「連鎖」という現象が起きてしまうのか

不登校は、それぞれに原因や背景がありますが、兄弟間では「共鳴」という現象が起きます。家庭という共通の基盤において、一人が「学校に行かない」という大きな決断をすると、他の兄弟も無意識に「今の自分のままでいいのか」と自問自答を始めます。家庭内の空気が重くなったり、親の不安が伝わったりすることで、兄弟のエネルギーが削られてしまうことも連鎖の引き金となります。

親が抱きがちな「私の育て方のせい?」という誤解

多くの親御さんが「自分の育て方が間違っていたから、二人ともこうなった」と自責の念を抱えておられます。しかし、まずはっきりとお伝えしたいのは、不登校は決して親御さんのせいではないということです。今日まで、お子さんの幸せを願い、悩み、精いっぱいの愛情を注いでこられたその歩みは、何にも代えがたい尊いものです。
ただ、「親の存在」がお子さんに与える影響は私たちが想像する以上に大きいのも事実です。不登校という現象は、親御さんの愛情が足りなかったから起きるのではありません。しかし、今の「良かれと思って注いでいる接し方」や「お子さんが今必要としている関わり」を見直す良い機会でもあります。過去の否定ではなく、親子関係をアップデートしていくこと、お子さんの捉え方や接し方を見直していくこと、それが、兄弟揃って笑顔を取り戻すための解決への第一歩となります。

なぜ不登校は兄弟で連鎖するのか?主な3つの心理的要因

兄弟連鎖が起きる背景には、単なる「真似」ではない心理的な背景があります。連鎖を引き起こす主な3つの要因について紐解いていきます。

1,家庭内の「登校へのハードル」が下がるため

これまで「学校は絶対に行くべき場所」というルールがあった家庭でも(暗黙のルールになっている場合もありますね)、一人が休むことでそのルールが揺らぎます。学校に行かずに家で過ごす兄弟の姿は、「無理をして行かなくてもいいんだ」という一つの選択肢を可視化させます。この「心理的ハードルの低下」は、学校で少なからずストレスを感じていた子にとっては、不登校が現実的な選択になります。

2,兄弟で共有している「気質」や「感受性」

兄弟は遺伝的にも環境的にも似た気質を持っていることが多いものです。例えば「HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)」のように、音や光、他人の感情に敏感なタイプであれば、同じ学校という空間に対して同じように苦痛を感じている可能性があります。一人が不登校になったのは、たまたまその子の限界が先に来ただけで、もう一人も実はギリギリの状態で耐えていたというケースは少なくありません。

不登校とHSPとの関係について気になる方は、こちらもお読みください。
学校が辛いHSCの子どもたち――不登校との関係と接し方を専門家が解説

下の子が抱える「不公平感」と「家庭内の緊張感」

不登校の子に対し、親が優しく接したり、好きなことを許したりする姿を見て、兄弟は「お兄ちゃんだけずるい」などの不公平感を抱くこともあります。一方で、家の中が兄弟の問題でピリピリしていると、他の兄弟は「自分まで迷惑をかけられない」と感情を押し殺すこともあります。この「甘えたいけれど甘えられない」という葛藤が、結果的に心身の不調として表れ、不登校へと繋がっていくケースもあります

【パターン別】兄弟連鎖が起こりやすいケースや特徴

不登校の連鎖は、どの家庭でも同じように起こるわけではありません。兄弟の性格や家庭内での立ち位置によって、そのきっかけは様々です。ここでは、特に行き渋りが起きやすい5つの代表的なパターンと、その特徴について詳しく見ていきます。

ケース①:「公平性」への不満が強いケース

このケースでは、兄弟が「自分だけ損をしている」という感覚を強く持っています。「お兄ちゃんは昼まで寝ているのに、なぜ自分だけ眠いのを我慢して登校しなきゃいけないの?」という問いに対し、納得できる答えが見つからない時に連鎖は起こりやすくなります。子供にとっての「正義」や「平等」が崩れたと感じる時、学校に行くことへの意味を見失ってしまうこともあるでしょう。

ケース②:兄弟で「感受性が高い」という共通点がある場合

非常に繊細な気質を持つ兄弟の場合、一人が学校で受けた傷を、もう一人が自分のことのように感じ取ってしまう「共感疲労」もおこります。例えば、上の子が先生に怒られた話を聞くだけで、下の子も学校を怖い場所だと認識してしまいます。このパターンでは、学校やクラスの雰囲気が兄弟双方のキャパシティを超えていることも多く、連鎖というよりも「同時に限界が来た」状態という場合も多いです。

ケース③:兄弟の「荒れている姿」に精神的影響を受けている場合

不登校の初期段階で兄弟が荒れ、暴言や物に当たっている、親子喧嘩をしているという状況がある場合、下の子は家庭内で「二次受傷」を負います。不登校についてご夫婦の意見の相違から、ご夫婦仲にも影響があるケースも多いです。そういった場合、家が安らげる場所ではなくなり、常に家族の顔色を伺って過ごすことで、兄弟の精神的なエネルギーが枯渇します。学校で頑張るための「心の充電」が家でできないため、結果として登校する気力がなくなり、引きこもるように連鎖が起きてしまいます。

ケース④:親の意識が「上の子の対応」に完全に偏っている場合

「手のかかる子」に親の意識が集中し、兄弟が放置されていると感じるケースです。兄弟は無意識のうちに「自分も問題を抱えれば、お母さんはこっちを向いてくれる」と学習してしまいます。これは「試し行動」の一種であり、病気や不登校を隠れみのにして親の愛情を確認しようとする動きです。寂しさや孤独感が、不登校という形で表面化するのがこの特徴です。

ケース⑤:兄弟間の「心理的境界線」が曖昧な家庭

兄弟仲が非常に良く、依存関係に近い場合に起こります。上の子の感情がそのまま下の子に流れ込み、自分の意見と相手の意見の区別がつかなくなっている状態です。「お姉ちゃんが行かないなら、私も行かないのが正解なんだ」などと盲目的に思ったり、一人で学校に行くことに強い不安や罪悪感を覚えたりします。

兄弟への連鎖を防ぐために、今すぐできる予防策

「次は下の子かもしれない」という不安を抱えたまま過ごすのは、親御さんにとっても非常に辛いものです。今日から家庭で実践できる、心の予防策を整理しましょう。

兄弟との「1対1の時間」を大切にする

連鎖を防ぐ最大の鍵は、下の子に「自分は大切にされている」という実感を持たせることです。1日10分でも構いません。上の子がいない場所で、下の子の話だけを聞く時間を作ってください。学校の話でなくても、趣味や友達のことなど、その子が主役になれる時間を持つことです。そして、その子の頑張っているところや良いところ、成長したところなどを大きく認めてあげましょう。不当な不公平感や寂しさが解消され、精神的な安定につながっていきます。

兄弟の「対応を分ける」ことを宣言する

「お兄ちゃんは今、心の休憩が必要だから休んでいる。でも、あなたはあなたのペースで進んでいいんだよ」と、明確に対応の違いを言葉にしましょう。公平とは「同じにすること」ではなく「それぞれに必要な支援をすること」だと伝えます。兄弟に対し、「あなたはこんなことを頑張れている、こんなところが素敵。応援しているよ」と、ポジティブな注目を与え続けることが重要です。

家庭を「学校以外の話題」で明るく保つ

家の中が「学校に行く・行かない」の話題だけで埋め尽くされると、子供たちは息が詰まってしまいます。意識的にテレビ番組の話、美味しいお菓子の話、週末の予定など、学校とは無関係な「楽しい会話」を増やしましょう。家庭を「評価される場所」ではなく「安心して過ごせる場所」に保つことで、兄弟の心理的な負担が軽減され、登校を続けるエネルギーを維持しやすくなります。

もし兄弟揃って不登校になったら?悪化させないための接し方

もしも、兄弟揃って不登校になったとしても、それは決して「終わり」ではありません。むしろ、家族一人ひとりが自分らしい歩みを再確認するスタート地点とも言えます。混乱しがちな家庭内を落ち着かせ、回復へと向かうための具体的な関わり方を解説します。

「どっちを優先すべき?」迷った時の優先順位の立て方

二人同時に対応するのは至難の業です。迷った時は「より緊急性の高い方(自傷の危険がある、食事が摂れない等)」か、「より回復に近い方(動き出そうとしている方)」のどちらかに比重を置きます。ただし、基本は「無理にどちらかを動かそうとしない」ことです。親の体は一つしかありません。一人で抱え込まず、ご家族で役割を分担したり、外の支援者に頼ることを最優先してください。

兄弟それぞれの「個別の課題」として境界線を引く

兄弟であっても、不登校の理由は千差万別です。一括りに「不登校の兄弟」として扱うのではなく、一人ひとりの特性や悩みに合わせた「個別支援」の視点を持ちましょう。上の子には休息を、下の子には学習のサポートを、といった具合に必要なものは異なります。それぞれの部屋や居場所を確保し、お互いの状態に干渉しすぎないような物理的な距離感を作ることも、家庭内の平穏を保つコツです。

教室以外の「サードプレイス(居場所)」を2人分確保する

不登校の段階にもよりますが、お子さんが動き出そうという意欲が出てきたら、フリースクールや適応指導教室、オンラインコミュニティ、習い事など、教室以外の居場所をそれぞれに探しましょう。同じ場所である必要はありません。むしろ、別々のコミュニティに属することで、家庭内でも「それぞれの世界」の話ができるようになり、兄弟間の依存や執着を防ぐことにもつながります。社会との接点が、親子ともに大きな希望になることも少なくありません。

専門家に聞く「兄弟不登校」に関するよくある悩み

兄弟不登校の渦中にいる親御さんからは、日々多くの切実な相談が寄せられます。「こんな時、どう声をかけるのが正解なの?」という疑問に対し、親子関係を修復し、解決へと導くための専門的な回答をまとめました。

下の子に「お兄ちゃんは休みだけど、あなたは行きなさい」と言ってもいい?

結論から言えば、伝えても大丈夫ですが、伝え方が重要です。「お兄ちゃんはずる休みではない」という事情を説明した上で、「あなたは学校に行くことで得られる楽しさや学びがあると思う。お母さんはそれを応援したいし、あなたの味方だよ」と、本人のメリットに焦点を当てて伝えてください。強制するのではなく、本人の意欲や主体性を大きく認めて、尊重することがポイントです。

兄弟喧嘩が絶えない場合、どうしたらいい?

不登校の兄弟が1日中顔を合わせていると、些細なことで衝突が起きます。これはお互いのエネルギーが低い状態で、ストレスをぶつけ合っている証拠です。無理に仲良くさせようとせず、生活動線(食事の時間や部屋)を分けるなどの工夫をしましょう。「今は距離が必要な時期」と割り切り、親が審判役にならないことが大切です。物理的な距離が、心の平穏を守ります。

ーまとめー

兄弟で不登校が連鎖すると、まるで出口のないトンネルに入ったような絶望感を感じるかもしれません。しかし、それは家族全員がこれまでの生き方を見直し、「新しい家族の形」「本来の自分の生き方」を再構築するための大切な期間でもあります。
大切なのは、親が一人で責任を背負い込まないことです。育て方のせいでも、お子さんの甘えでもありません。不登校を経験したご家族から「あの不登校の期間があったから今の幸せがある」「子どもが不登校になってくれたおかげで」という話を聞くことも少なくありません。決して、負の経験ではないのです。
カウンセラーや支援機関といった外部のリソースを積極的に活用してください。親御さんが少しずつ笑顔を取り戻すことが、巡り巡って子供たちのエネルギー回復へと繋がっていくものです。

YSカウンセリングセンターでは

「子どもが不登校でこの先が不安…」
「このままひきこもりになってしまうのでは…」
「不登校の子どもにどうやって接したらいいの」
という親御さんの無料相談を受け付けています。
子どもをよみがえらせるのは、医者でも、薬でも、相談員でもありません。お子さんの回復のカギは、親御さんの「接し方」にあります。ご家庭でのお子さんの様子や親御さんのお悩みなど、じっくりマンツーマンでヒアリングを行い、解決までの道すじを、具体的にご相談いただけます。
経験豊富なカウンセラーが対応いたしますので、少しでも気になる方はお気軽にご連絡ください。

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